「何でもいい」が怒られる理由:彼の矛盾した言動の裏側にあるもの

恋のお悩み

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彼氏に自分の意見をはっきり言いなさいと言われます。
例えば「ご飯何食べたい?」って聞かれて「何でもいい」と答えると怒られます。
でも私が食べたい物を答えると「気分じゃないんだよなぁ(笑)」と却下されるので、どうせ否定されるなら答えたくありません。
どうしたらいいですか?

彼の「意見を言ってほしい」は、あなたのためではなく自分のため

まず、このご相談を読んで「これは彼女さんが悪いんじゃない」と強く感じました。
むしろ、彼の言動に一貫性がなく、あなたが戸惑うのは当然です。

ご相談の状況を整理すると、彼は
・「意見をはっきり言ってほしい」と求める
・でも実際に言った意見は否定する
・しかも「気分じゃない(笑)」という軽さで片付ける
というパターンです。

これは心理学的にいうと、「自己主張要求」と「選択権の支配」が同時に起きています。
つまり、彼が本当に望んでいるのは“あなたの意見”ではなく、“自分が望む答えをあなたの口から言ってほしい”という状態です。

自己主張要求と選択権の支配とは?

彼の言動を理解する鍵になるのが、心理学でいうところの「自己主張要求」「選択権の支配」という二つの状態です。これは、同じ相手に対して同時に起きることがあり、関係性が歪み始めているサインとして非常に重要です。

① 自己主張要求 ― あなたに“本音を言わせたい”という願望

自己主張要求とは、相手に対して「ちゃんと意見を言ってほしい」「はっきり言ってくれないと困る」と強く求める心理です。一見するとコミュニケーションを大切にしているように見えますが、問題はその裏側にあります。

自己主張要求が強い人は、「相手がどう考えているかを知っておきたい」、そして「予測不能な状況を避けたい」という不安を抱えていることが多いです。つまり、あなたが何を考えているか、あなたの気持ちがどこに向いているかを把握していないと落ち着かないのです。

しかしそこには、「相手の本音を尊重したい」という優しさではなく、「相手の考えを管理したい」という欲求が紛れ込むことがあります。これは健全な“対等なコミュニケーション”とは少し違います。

② 選択権の支配 ― 決定権だけは自分が握りたいという心理

自己主張を求めてくるにも関わらず、あなたが意見を言った途端に否定するのは、典型的な「選択権の支配」です。これは心理学で見られる支配行動の一種で、「最終的に決めるのは自分でありたい」という強い欲求によって起こります。

例えばご飯選びのような些細な場面でも、

  • あなたが意見を言う → 「それじゃない」と却下
  • あなたが何でもいいと言う → 「ちゃんと言え」と怒る

という矛盾した行動が生まれます。これは本人が自覚していない場合も多いですが、根底には「自分の望む選択に相手を誘導したい」という支配欲があります。

この状態が続くと、あなたは「何を言ってもダメ」と感じやすくなり、徐々に本音を出せなくなっていきます。心理学では、これが小さなコントロールの積み重ねが引き起こす“関係の上下化”だとされています。

③ 二つが同時に起こるとどうなる?

自己主張要求と選択権の支配が同時に起きると、相手は次のような状態になります。

  • あなたに意見を言わせたい(自己主張要求)
  • しかし決定権は自分が持ちたい(選択権の支配)

これを恋人に求められると、非常に苦しくなります。
「意見を言ってほしい」という建前と、「でも最終的には自分が決めたい」という本音が衝突し、その矛盾があなたに向けられるからです。

そして筆者として率直に言わせていただくと、彼は自己主張しなさいと言いながら彼女の意見を聞く気がない、自分の食べたい物を察して彼女に自分の意見として提案させたいというモラハラ予備軍だと思います。
強い表現になりますが、長年恋愛相談を見てきた経験から、こういうタイプの男性は注意が必要です。

否定され続けると、人は本音を言えなくなる

人は、意見を言って否定され続けると「言っても無駄だ」と学習します。
いわゆる“学習性無力感”という心理状態です。

「どうせ否定されるなら答えたくない」
これは自分を守るための自然な反応です。
あなたは何もおかしくありません。

むしろ問題なのは、彼が自分の矛盾した態度であなたを追い込んでいることに気づいていない、あるいは気づいていても直す気がない点です。

なぜ彼はそんなふるまいをするのか?

この手の男性にはいくつか共通点があります。

  • 自分が選択したいけど責任は負いたくない
  • 相手に合わせてもらうことが愛情だと思っている
  • 「主導権を持ちたい」という欲求が強い
  • 相手を下に置くことで安心する

「意見を言って」と言いながら、本音を出すと否定してくるのはその典型です。
表面上は“対等な会話”に見えて、実際には優位性を保とうとしています。

じゃあどう向き合えばいい?

ここで大事なのは、あなたが悪いわけではないので、あなたが変わる必要はないということです。
ただし、彼とのコミュニケーションの形を工夫することで、あなた自身が少し楽になります。

①「2択で答える」ルールを導入する

「何食べたい?」と聞かれたら、
「じゃああなたが食べたい候補を2つ出して。その中から選ぶよ」
と提案してみてください。

このタイプの男性は「相手に選ばせるけど主導権は持ちたい」傾向があるので、有効な場合が多いです。

②“否定されたら質問返し”で流す

あなた「パスタがいいな」
彼「その気分じゃないんだよな〜」
あなた「じゃあ今日は何が食べたい?」

これを淡々と続けると、“否定しても相手は動じない”という空気が作れます。
モラ気質は「反応すると喜ぶ」ので、逆に無反応が効きます。

③「決めてくれると嬉しいな」と素直に言う

少し勇気が要りますが、
「あなたが決めてくれると気がラクなんだ」
と伝えるのもひとつの方法。

相手があなたを大事にしているなら、この言葉をきっかけに変わる可能性があります。
逆に、ここで不機嫌になったり説教が始まるようなら、関係性を見直すサインです。

最後に ― あなたの感覚はまちがっていない

あなたが感じているモヤモヤや疲れは、ごく自然なものです。
彼の対応に振り回されているだけであって、あなたの性格や受け答えが問題なのではありません。

“意見を求められるのに、言うと否定される”という環境で、心がしんどくなるのは当然のことです。
どうか、自分を責めないでください。

恋人との会話は、本来もっと軽やかで、気楽で、あったかいものです。
あなたが「話しやすい」「否定されない」と感じられるコミュニケーションが、ちゃんとこの先にあります。
どうか、あなた自身の心地よさをいちばん大切にしてあげてくださいね。

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